2. リベットの強度と板の強度

2.1 リベットに作用する力

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図1 リベット継手に作用する力
 一本のリベットを使用して力の伝達を行なわせるには、図1に示すように2枚の板を重ねて綴り合わせる方法(単剪、単せん)と、サンドイッチ状に挟んで綴り合わせる方法(複剪、複せん)との2種類があります。前者を一面せん断(剪断)、後者を二面せん断(剪断)とも言います。板の枚数が増加すれば多面せん断になりますが、力の作用に関して分類すれば上記の二種類がリベット継手の基本的な構造です。リベットを介して伝えられる力は、リベット軸に垂直な方向の力だけを考え、リベットの頭部を持って引張るような力の作用を考えませんし、またそのようには設計しません。リベットで二枚の板を締め付けますと、摩擦力が効いて板の移動を拘束し、これが継手の強さとしても働きますが、これも設計では考慮しません。軸方向の力に対して設計するのはボルトであって、本質的にリベットとは使用目的が異なります。

リベットと板とを含めた継手部分の応力分布は極めて複雑ですが、これを実用的には次の3種類に分けて簡単に扱います。

  1. リベット働長に作用する支圧応力:リベット軸がリベット穴で板に接触する部分を板厚×リベット径で計算した面積に等分布するとして、平均の支圧応力を仮定します。

  2. リベット断面のせん断応力:リベット断面に平均に分布したせん断応力を仮定します。

  3. 穴あき板の応力:穴の部分を差し引いた純断面積に等分布する軸応力を仮定します。

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