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EXCEL文書作成の手引き

0. はじめに(introduction)


0.2 ワードプロセッサの開発は傍流であったこと

 文書の作成と印刷にコンピュータを利用する分野は、大きく分けて二つありました。一つは、大量の印刷部数を高速で作成したい要望の強かった、新聞社と大手の出版印刷会社です。こちらは大型コンピュータの製作企業が研究しました。もう一つは、一般事務処理の分野であって、business letterの様な、小部数の印刷を目的としたワードプロセッサ(ワープロ)です。これには、当初、8ビットのマイクロコンピュータ(マイコン)が利用され、その印刷装置には英文用の電動タイプライタが使われました。活字の種類を簡単に取り替えができるdaisy-wheel printerや、IBM社の電動タイプライタに採用されたtype ballを使うことで、体裁のよい印刷ができるようになりました。しかし、この開発は、日本語の環境には応用できませんでした。日本語用のワープロの開発は、1978年に東芝が開発したのが始まりであって、ソフトウエアとして仮名漢字変換、ハードウエアとしてドットインパクトプリンタの利用によって実現されました。1980年代は、マイコンを利用する、安価で小型のワープロ専用機の開発がブームになりました。ワープロは事務機械と見なされていたこともあって、大型コンピュータの製作販売企業の多くは、コンピュータ部門とは別組織にしていました。しかし、ワープロに使うマイコンに、16ビットのパーソナルコンピュータ(パソコン)が投入されるようになって、大型コンピュータを利用しなくても、パソコンでかなりの計算をこなすことができるようになりました。つまり、コンピュータ利用の勢力事情が、事務処理を主とする方に逆転したのです。DTPは、1986年、アップル社の32ビットプロセッサを使うMacintoshとレーザプリンタの採用に始まりました。これがWindows系のパソコンでもワープロの利用では標準になりました。その後の実情を見ると、エクセルは、表計算の機能を持つワープロとしての性格に進化しています。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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