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5. 錯覚と錯視を避ける作図技法

5.1 三面図


5.1.1 見て分かる製図は必ずしも第三角法に忠実ではない

 下の図5.1に示す自動車の三面図は、インターネットから検索して取り込んだものです。この作図は、現行の製図規格の約束から見ると、二つの違反事項があるのですが、一般の人が見る分には、特に錯覚する問題ではありません。教育的な見地から、製図規格の違反事項がどこにあるかを指摘しておきましょう。まず、この図の配置は、平面図と側面図の上下配置関係が第三角法に違反しています。なお、用語として、ここでの自動車の側面図は、図法として言うならば正面図です。他の幾つかの自動車カタログでは、自動車の方での正面図を省いた側面図と平面図との組みの第三角法の配置関係が多いようです。しかし、図5.1を第一角法と見れば、正面図と側面図の左右位置関係が反対になっています。二番目の違反事項は、寸法記入方法です。現行は、寸法線を中断しないで連続させ、その上に寸法数値を書くことになっています。

図5.1 自動車のカタログに見る三面図の例
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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