目次ページ  前ページ 次ページ

4. 製図教育の視点

4.5 デジタル化した図形データの知識


4.5.5 画像の拡大と縮小の問題

図4.8 種々の縮小図面
(A) 名刺大に縮小(1/8) (B) 35 mmフィルム大に縮小(1/16) (C) サムネイル縮小(1/32)
--


 図面を利用するときは、図形が確認できると同時に、寸法数値が読めなければなりません。大きい用紙寸法を使い、文字をやや大きめに書くのは、作業現場の環境で必要です。管理を目的として室内で見る場合には、読める範囲で縮小した図面を使うことができます。この場合の縮小は1/2が限度です。A1版の図面は、A3版に縮小します。A3版ならば、事務用コピー機やレーザプリンタで扱うことができます。元になるA1版の図面が300 DPIの精度で作成されていると、600 DPIのレーザプリンタでA3版に縮小して印刷すれば、図としての精細度は落ちません。それよりも縮小が小さくなると、数字がつぶれて、ルーペで拡大しても読めなくなります。工業製図の図面をサムネイルの寸法に縮小すると、何が描いているのかも分からなくなります。特に、鉛筆書きの図面の保存をデジタル画像化すると、コントラストが低いので、図の汚れが画質を悪くします。図4.2および、下の縮小化した図では、画像ソフトを使ってコントラストを上げ、線図としての全体図が分かるように修正してあります。

 参考のために、図の寸法とファイルの大きさを示します。図4.2の図面原寸はA1です。これを正直にビットマップ化すると、約200 MBです。図4.2は1/4です。もう数値は読めません。図4.8は、順に(A)1/8, (B)1/16, (C)1/32の縮小画像です。 ファイル化したときの寸法を表4.1に示します。
表4.1 図の寸法とファイルの寸法
図面寸法

BMPサイズ

JPGサイズ

A1(100%)

197,800 KB

13,008 KB

縮小(1/4)

774 KB

163 KB

縮小(1/8)

194 KB

43 KB

縮小(1/16)

49 KB

11 KB

縮小(1/32)

13 KB

4 KB

科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

前ページ 次ページ