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4. 製図教育の視点

4.5 デジタル化した図形データの知識


4.5.4 ビットマップ形式のデータ保存1

 デジタルカメラの普及で、ネガに相当する画像データをファイルに保存し、適当な寸法に焼き付ける、いわゆる引き伸ばしが街中(まちなか)の写真屋さんで簡単にできるようになりました。従来のフイルムネガに代わって、CDサムネイル(thumbnail)でサービスするようになりました。サムネイルとは、親指の爪の大きさを言います。ネガに相当するファイルは、ビットマップデータです。このファイル寸法は、デジタルの画素数と1ピクセル当たりのビット数で決まります。このビット数は、8, 16, 24, 32のような区別があって、ビット数の大きいデータほど高画質のカラー画像を再現できます。正直に計算すると、例えば、30万画素のデジタルカメラで撮影し、それを16ビット(2バイト)で取り込むと、ファイル寸法は約600 KBです。高品質のカラー画像を、300 DPIのインクジェットプリンタでA4版寸法に焼き付けたいとすると、ファイル寸法は875万画素×32ビット(4バイト)=3.5 Mバイトにもなります。このこともあって、ビットマップ形式のデータ構造の圧縮技法が従来から研究されてきました。ファイルの拡張子の種類として、*.jpg, *.gif, *.tiffなどがあります。そうは言っても、建設関係の図面ではA1版の用紙寸法が多く使われます。これは、面積にしてA4版の8倍です。ファイル寸法が大きいことはコンピュータ処理では問題です。直径10 cmのコンパクトディスク(compact disk: CD)がパソコンの環境で利用できるようになったのは1990年以降です。それまでは30cmのレーザディスクが大容量の記憶媒体でした。この問題は、デジタルカメラ用に高密度のデジタルメモリが2000年に開発されたことで、大寸法のファイルデータの一時記憶と保存の問題がほぼ解消されました。ただし、これらの記憶媒体の寿命については未知数です。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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