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4. 製図教育の視点

4.5 デジタル化した図形データの知識


4.5.3 編集を制限するファイル形式

 グラフィックスモニタを前にして対話式(インタラクティブ:interactive)に作業をするときは、データの修正のために、作業手順を戻して変更ができるような、編集機能を持ったソフトウエアが使われます。グラフィックスソフトウエアが利用できなかった時代は、グラフィックス言語を使って、テキスト形式で作図手順を作成(プログラミング)しました。これをコンピュータグラフィックス・メタファイル(CGM:computer graphics metafile)または単にメタファイルと言います。これをテキスト形式で記述する場合と、ファイル寸法を小さくできるバイナリー形式のファイルとがあります。CADのソフトウエアは、対話式の作業の裏で、メタファイルが作成されますので、作業手順の再現や修正ができます。しかし、完成図面は、修正のできないビットマップ形式にして管理用に保存します。文書の場合も同じ考え方が使われています。ワードプロセッサの原稿ファイルは、文字コードと共に編集指示コードを必要とします。マークアップ言語(ML:markup language)は編集記述言語と言い、これをテキスト形式で挿入するのと、バイナリー形式にしたものとがあります。前者の代表がHTMLファイル形式(hyper text markup language)、後者の代表がマイクロソフト社のソフトでしか読めないワープロファイル(*.doc)です。これらのファイル形式は、別の人が中身を勝手に変更できますので、再編集の効かないグラフィックスファイルの形式で配布することも行われます。この代表はアドビー社が開発したPDF形式(portable document format)です。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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