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4. 製図教育の視点

4.5 デジタル化した図形データの知識


4.5.2 二つの表示装置を使うこと

 コンピュータが利用できるようになって、最終目的の紙の文書(ハードコピー)を作成する前に、仕上がりの状態をグラフィックスモニタ上で観察する、一過性のソフトコピーの作成が普通になりました。コンピュータ側から見れば、ハードコピーとソフトコピーとは、全く独立した装置(デバイス)にデータを出力して図形表示をさせます。ワードプロセッサもCADソフトも、印刷仕上がりがモニタ上で観察できるような編集作業ができます。これをWYSIWYG(What You See is What You Get)と言い、日本語に意訳すると「見たままのイメージで印刷が得られる」です。この機能のソフトウエア内部処理は、相当に複雑です。その理由は、モニタに表示しているドットマトリックスのデータをそのままプリンタに送るのではないからです。特に、文字の表示に使うフォントは、別のファイルデータを使います。このこともあって、モニタで観察する仕上がりと、紙の印刷仕上がりとが微妙に狂います。そのため、ワードプロセッサにはプレビューの機能が必要です。図面の場合には、プリンタに送るデータを元に、モニタ上の図形を拡大または縮小表示して編集作業できるように工夫されています。作図に使うCADのソフトウエアも、文字の記入があります。二種の表示画像は、正確に相似にはなりません。二つのデバイスで共通に利用できるデータをファイルとして保存し、表示の段階でデバイス向けの固有のデータに変換します。このファイル形式は、基本的には大別して2種類あります。最も直接的なビットマップ形式と、編集を可能にしたテキスト形式です。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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