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4. 製図教育の視点

4.4 文字寸法の知識


4.4.6 CADで書かせるドットマトリックス文字

 図面に表示する文字や数字の高さの規格は、字形の高さを言います。手書きの場合には、この高さに合わせるように書くことに何の疑問も持ちません。英数字の場合には、これを助ける文字用テンプレートがあって、それを使えば、線の太さ違いを気にすること無しに、高さを揃えた文字を書くことができます。コンピュータ制御で文字を書かせるプロッタやプリンタでは、決められた高さに揃えるように字形を描くことについて、ハードウエアの性質を考えたソフトウエアを工夫しなければなりません。デジタル化したプリンタやプロッタは、方眼状座標の升目単位に、四角な点(ドット:dot)を打つようにして、その集合(ドットマトリックス)で図を描きます。この升目の精度は、単位幅あたり何点まで位置を区別して描けるか、で言います。コンピュータはアメリカ主導で開発されてきた関係で、この精度を1インチ(25.4mm)当たりの点数(DPI:dots per inch)を使います。実用的な数値は、レーザプリンタの600 DPI、インクジェットプリンタが300 DPI、ドットインパクトプリンタ、およびコンピュータのモニタ画面で150 DPIです。初期の高精度キャラクタディスプレイの解像度(resolution:レゾリューション)は640×480でした。これは画面寸法で言うと75 DPIに当たります。なお、モニタ画面では、ドット数の代わりに解像度で言う約束です。ドット並びで文字を表すとき、電光掲示板のような表示になります。英数字は画数が小さいので、文字として読めるドット領域単位として最小高さで7ドットを使うことができます。横幅は変化しますが、数字などの並びでは5ドットで揃えます。漢字は画数が多いので、これよりも多いドット数になります。文字を詰めて並べると読み難くなりますので、平面領域に詰めるときは左右と上下に幾らか隙間用の空白ドット分を空けます。ここまでの説明で分かるように、決められた高さで文字を書こうとしても、ドット密度との関係で、近似的な高さでしか書けません。また、表示装置と文字高さ別に、個別の図形デザインを準備しなければなりません。この面倒さを、ユーザに代わって、ワードプロセッサやCADのソフトウエアが吸収しています。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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