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4. 製図教育の視点

4.4 文字寸法の知識


4.4.1 印刷活字と文字の高さ

図4.6 英字寸法の基準線
 日本語の文書は、横書きも縦書きもできます。それに合わせるように、印刷に使う鉛の活字は、真四角です。これが全角です。字形寸法は、活字の寸法を枠として、それよりも僅かに小さくします。それによって、活字を詰めて並べても、字形間に適度な隙間ができて、読み易さを助けます。文字寸法を言うポイント数は、活字の高さの方で言います。製図では、寸法数値をアラビア数字で書き、英字と共に横書きです。日本語を混ぜて、全体を見栄えよく表すために、文字の高さと文字詰めの寸法に約束が必要です。製図法は欧米技術に倣いましたので、文字また文字並びの書き方も、欧米の習慣についての知識を理解しておきます。まず、英字字形の寸法デザインです。アルファベット文字は、高さが不揃いです。高さ方向に5種類の基準線があります(図4.6)。上から;
・アセンダライン(ascender line)
・キャップライン(capline)
・ミーンライン(mean line):xライン(x-line)
・ベースライン(base line):並び線:ボディーライン
・デセンダ−ライン(descender line)

 各ライン間の寸法比に種々の種類があります。欧文の文字並びで複数の行数を手で書くとき、図4.5の字形高さに、僅かの隙間を加えて行間を詰めます。印刷用の活字では、ベースラインから下側に出る字形を使いません。この部分はアンダーラインを引く余裕に残し、また行間を空けて見易さを助けます。したがって、実質的な文字高さは、活字高さのポイント数よりも小さくなります。英文タイプライタで作成する文書では、パイカ(pica)の活字を使います。パイカとは、縦横ともに、12ポイントの寸法を言う通称です。1インチが72ポイントですので、行数を詰めた英文は、1インチ高さに6行入ります。この行高さが、タイピングで言うシングルスペーシング(single spacing)です。スペース(space)は、文字の横方向の空白を言うことと区別します。字形の実質的な高さ寸法は、12ポイントの約90%です。文字高さを英字と揃えるように日本語の活字を選ぶと、10.5ポイント、約3.5mmです。日本語のワードプロセッサでは、この文字寸法を標準書式としています。図面に使う英数字は、この寸法でも読めますが、漢字を含む日本語の文字では5 mm(約14ポイント)以上で書きます。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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