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4. 製図教育の視点

4.3 線が指示する場所の問題


4.3.1 図としての線と幾何学での線

 幾何学で言う点・直線・平面とは、場所を示す抽象的な概念であって実体を考えません。これに対して、紙の上に描いた点と線は、或る大きさを持った、具象的な(眼に見える)図形です。線の太さの規格は、1mm幅を基準とした√2の系列であって、最小0.18mm(0.2mm)、最大2.0mmです。平行する線の最小間隔は、0.7mmです。そうすると、線で示された図形の、どの位置で幾何学的な場所を示しているかが問題になります。例えば、或る直径の円柱断面を表すとして、或る太さの線で円を描くとします。正確に外形の寸法を表すように手描きで作図をするとき、作図線の幅の中心を通る円の直径は、円柱直径よりも線幅分小さくします。逆に、パイプの内面を表示したい円は、線幅分大きい円を描きます。この作図を助けるテンプレートが売られていて、外形円作図用と内径円作図用の寸法区別があります(図4.3)。コンピュータを使う自動製図は、普通、線幅の調整をプログラミングしません。この場合の線は、対象物の幾何学的な形状表示に重点がありますので、寸法数値は参考として重要です。

図4.3 円柱外形作図用テンプレート(左)とパイプの内円作図用テンプレート(右)
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科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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