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4. 製図教育の視点

4.2 常識的な習慣と規格化


4.2.2 使い易いマニュアルを工夫する

 標準や規格は、落ちが無いように注意深く作成されます。したがって、文書としては、取り済ました法律文のようにまとめられ、読者の理解を助けるような丁寧な説明や解説を省きます。その全体について理解した上で、部分的に参照して利用します。したがって、実務では、要点をまとめ、説明を補ったマニュアルやハンドブックの類に編集し直したものを参照します。これらは、書店で販売されることもありますが、専門性の高い協会や企業内で、私的な印刷物として作成することも多く見られます。さらに、個人単位では、自分専用のノートやファイルに、コピーなどで抜粋した資料を集め、自前の資料を編集することもします。これらを他人に対して秘密にしておけば、自分の業績を上げる知的財産になります。これも悪くはないのですが、企業内では、年配者から後継者に技術移転(technology transfer)を考えて知識の共有を図れば、企業としての知的風土を育てます。これは、企業内の内部資料として秘密扱いをすることも見られ、私的に持ち出すことが制限されます。俗に言えば虎の巻です。印刷物に作成することに大きな経費を必要としていた時代は、結果的に秘密主義にならざるを得ない面がありました。しかし、情報化時代では、公開できる情報を発信する場を持つことと、外部からの情報を受け入れる窓口を持つこととの利点が、勝るようになってきました。そうすると、情報量が多くなり過ぎて、収拾が付かなくなることが起こります。そうなると、再び個人の個性的な判断で仕分けをすることが効率的になります。これが、俗に言う整理法です。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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