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4. 製図教育の視点

4.1 書類としての図面


4.1.4 図形単位にも暗黙の輪郭を考える

 一枚の図面は、複数の図形単位の集合です。一つの図面単位に複数の図形単位を並べるとき、文字並び程ではないにしても、何がしかの筋書きを考えます。図面の枚数を節約するため、関連の薄い複数の情報単位を詰めることも避けます。第一角法または第三角法は、投影図単位の並べ方の規則です。この並べ方の順が大きく変るようであると、論理的な理解を妨げます。ここで言う図形単位は、形状の線図を中心とし、その周囲に説明用情報を配置した構造を持たせます。この情報は、寸法数字が主なものです。文字が、主題としての図形用の線を汚すようになることを避け、引き出し線寸法補助線寸法線を使います。これらの線も、図形用の線を汚すようになることを、なるべく避けます。また、個別の寸法の累積である合計寸法は、個別の寸法よりも外側に記入します。一つの論理単位としてまとめた図の集合を図形単位とし、それを区別したいとき、枠で囲うこともありますが、通常、図形単位には輪郭を描きません。しかし、枠線を描かなくても、矩形枠で囲う考え方は必要です。この、部分的な作図領域のことを、コンピュータグラフィックスではビューポートと言い、この単位で図形の移動や配置を考えます。図形単位に表題(title)または見出し(caption)を付けるときは、最上段の位置に書きます。一般文書は、図や写真の説明を図形単位の下に書くので、表示位置の約束が異なります。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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