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4. 製図教育の視点

4.1 書類としての図面


4.1.3 図面にも書式と体裁に当たるものを考える

図4.1 図面の様式を示す図:幾らか欲張った内容が順不同で詰めてあります。
 図面を見るときは、視点の動きが二次元的です。図面が何を表しているかの情報を理解することが読図です。読書が文章理解であることと大きく異なります。図面の主要な情報は、形の性質と寸法です。図面を見るとき、大体の習慣として、書式と体裁を整えた横書きの文書を見るときと同じように、左上から右下に視点を移動させます。これは製図作業とも関係しています。大きな用紙に手描きで図を描くとき、既に描いた個所を汚さないようにすると、左上から右下の順の作業になるからです。複数の図面を書類の体裁にまとめるとき、文書の書式と体裁に相当するものを図面の様式と言います。これは、用紙単位の寸法と、用紙の作図領域の使い方を言います。この指示は、余白を考えて輪郭線で区別します。大きな図面用紙の集合を綴じるときは、綴じ代側の余白をやや広くします。常識的な寸法は、25 mmです。これは1インチと対応しています。綴じない縁の余白は、少なくとも10 mmが必要です。20 mmが標準ですが、輪郭線の外側、10mm幅を種々の管理用情報の記入場所に使います。例えば、中心マークは、マイクロフィルムに撮影するときに使います。地図の枠にあるような、比較目盛や格子座標の記入にも使います。図面用紙を折り畳んで保存するときは、表に出る個所に表題欄が来るようにします。こちらは主情報の一つですので輪郭線の内側に書きます(図4.1参照)。図4.2は、1947年の作図です。

図4.2 鉛筆描きで白焼きした図面をスキャナで取り込んでファイル化したもの(岐阜市忠節橋1948)
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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