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4. 製図教育の視点

4.1 書類としての図面


4.1.2 文章作文もレトリックを避ける

 文章の方は、声に出し、耳で聞いても理解できることが、図面との違いです。日本語では同音異義語が多いので、例えば「しりつ(私立・市立)」の区別は、眼で判別するか、言い方を「わたくしりつ・いちりつ」と言いかえます。これが日本語に豊かな表現を工夫する原動力になります。しかし、欠点としてレトリックが増えます。従来は気にしなかったことが、コンピュータを擬人化して日本語を扱うようになって、これらが大きな問題になってきました。日本語のテキストファイルをコンピュータが音声に変換して読み上げるときに、読み間違えを起こします。自動翻訳を工夫して英語にしたいとき、含みを持たせた間接的な表現は、コンピュータに理解させることができません。文書は、眼で見て区別させる幾何学的な構造に当たる書式と、論理的な流れ、つまり、話の筋を持たせて情報を表します。文書の筋書きとは、幾何学的に言えば線状に並んだ情報です。図面は、明確な筋書きがありません。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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