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3. 寸法と尺度

3.5 材料と寸法情報


3.5.2 鋼材や木材は工業製品化して供給される

 日本では木造建築が主体であったので、都市では材木屋さんが種々の寸法の柱材、板材を揃えています。同じように、鋼材でも、小寸法の型鋼は、木材に代えて住宅程度の構造物の、柱や梁に使う需要が増えました。その材料を村の鍛冶屋さんが問屋さんから購入して使いました。今でも各地で大事に保存されている火の見櫓は、殆ど地元の鍛冶屋さんの作品です。少し大きな構造物は、村の鍛冶屋さんのような個人規模では鋼材の扱いが手に余り、近代設備の鉄工所へと進化してきました。このような歴史がありますので、構造物の設計図は、特別な専門の文書としてではなく、身近な対象物を図化したものとして理解できるように描きます。その一つの方法が、材料情報の記入です。その材料は、工業製品化されていますので、寸法や形状はカタログ化された情報で記入します。この名称に数量、寸法情報、材質とを含めます。例えば、「1-L 150×150×12×3380 (SS41)」のようです。材料は、工場で切断・穴あけ、曲げなどの加工がされますので、加工後の重量は元材料とは異なるのですが、設計時の積算重量は元材料の寸法情報を使います。航空機体などは、実際重量を改めて計算するか、完成重量を測定するなどをします。寸法が大きな部材は、小寸法のカタログ材料から溶接して対応させることもします。このときは、工場での事情も考えて製作図を別に作成しますので、選択する材料のカタログ寸法が変わることがあります。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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