目次ページ  前ページ 次ページ

3. 寸法と尺度

3.4 寸法の記入


3.4.4 実測できるように寸法を記入する

 図面に寸法を記入するときは、製作された実物で寸法が実測できることを考えます。最も基本的な計測道具は、単純な物差しを使うことです。小単位の器械製品などは、ノギスやマイクロメータなどの測定道具を使います。図面そのものに物差しを当てて得られた数値を元に、実物の寸法を計測することは、参考にはしても、正式な確認作業には使いません。細長い対象物は、途中を省略した長い寸法を記入することもするからです。例えばトラス橋では、骨組み寸法の尺度と、部材断面寸法の尺度とを変えることをします。図面上の骨組み全体は、ずんぐりとした形状に描きますので、完成した構造とはイメージが異なります。ここで問題になるのが角度です。図面に描くときは分度器を使い角度を度で記入することをしても、実物で角度を測る物差しはありません。角度は参考数値です。傾斜を表示する場合には、水平の奥行き寸法(分母)に対して、高さの寸法(分子)を示します。この分数は、比率を示す%表示か、コロン(:)を挟んで、例えば1:5のように表します。垂直に近い傾斜は1:0.2または5:1のように書きます。ここで使うコロンは、欧米の習慣では割り算記号と解釈し、スラッシュ(/)を使いません。因みに、尺度表示(縮尺など)を表示する記号も、スラッシュではなく、コロンを使うように決められました。円弧、放物線、または他の円弧状の形状を表すときは、両端を直線で結んだ線を基線とし、左右対称の屋根の傾斜を言うように、中央での最大高さに注目して、基線の半分長さについて勾配を言います。道路橋の縦断勾配や道路幅の横断勾配を言うとき、5%の放物線勾配は、端での立ち上がりの勾配が2倍の10%になります。なお、一般的な曲線の形状を表すときは、多角形で近似させ、中間の座標値で寸法を測るようにします。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

前ページ 次ページ