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3. 寸法と尺度

3.4 寸法の記入


3.4.1 寸法記入がないのは図面ではない

 工業製図は、寸法記入が必須です。テクニカルイラストレーションや一般向けのデザイン画は、原則として寸法表示の有る設計図を元にして作図します。したがって、寸法表示を省くこともできます。芸術作品の名画や彫刻などは、実物を見る機会がなくても、各種の出版物の写真で紹介されていると、そこそこの知識が得られ、観賞もできます。写真による複製は、実寸法と違うのが普通ですので、丁寧な紹介では、参考にする実寸法が記入されています。そのこともあって、実物または実物大の複製(レプリカ)に接すると、改めて新たな感激を味わいます。テレビは種々の画面寸法の製品があります。人や建物などが写っている画面では、我々の日常生活との比較で、回りの物品寸法の大体が分かります。しかし、長さを比較できる参考対象が無い場面も少なくありません。寸法数値が記入されていれば、拡大または縮小の度合いを言う尺度現尺縮尺倍尺)の記入が無くても間違った解釈を避けることができます。科学技術に利用する写真は、寸法が分かるように物差しを同時に写すこともします。それに加えて、構造物などでは、どの方向から撮影したかの情報が必要です。報道写真、特にアマチュア写真などは、それらの情報を含める、または意図してコメントを加えることには頓着しません。このような実践的な注意事項を教える技術教育の環境が欲しいところです。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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