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3. 寸法と尺度

3.3 実寸法と呼び寸法


3.3.3 温度による長さの変化はかなり大きい

 人の最小居住単位である部屋の家具調度の寸法は、ミリメートルを最小の長さ単位として寸法を言えば、実用面では充分の精度です。一つの住宅単位は、長さ10m単位、その集合としての大きなビルを考えるときの積算寸法は、大体100m単位です。そうすると、これらの構造物を図面に表す寸法数値としては、ミリメートル表示で最大5桁の整数を扱います。人工の構造物としてのビルや橋梁では、夏冬の温度差、短期間では昼夜の温度差によって長さの変化が起きます。鋼やコンクリートの線膨張係数は約1.2×10-5/℃です。そうすると、100mの長さについて、温度差が40度あると、長さの変化の積算は地面に対して約50mmです。100m程度の長さがある鉄筋コンクリート造りの学校やアパートでは、この長さ変化を弾性変形で取り切れなくて、構造的に弱い個所に亀裂を発生させることがあります。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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