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3. 寸法と尺度

3.3 実寸法と呼び寸法


3.3.2 実数であっても実際は整数扱いをする

 寸法数値を正確に表したいとき、小数点を含む実数表現を使うことになるのは避けられません。しかし、この数値を具体的に確かめる手段がなければ、参考数値であるか、仮説に過ぎません。寸法数値の場合、具体的な手段には、物差し、または計測器を使います。そうであると、目盛で読み取れる精度以上の寸法数値が書いてあっても、或る桁以降に並んだ数値は確認のしようがありません。確認できない数値を図面には書きません。また、書いてある場合は、参考数値である、と断るのが親切です。寸法数値を理解するときは、小数点を含む実数表現をしていても、現実には小数点の位置を、表示に使う便宜的なものと解釈していて、或る位取りの桁以下を表示に使いません。つまり整数扱いをします。これを数値の丸め(rounding off)と言います。この方法として、切り上げ、切り捨て、四捨五入の3種類を使い分けます。なお、工業的には、四捨五入にはJISの丸めもあります。5を切り上げて最終桁が奇数になるときは、切り捨て処理をします。このような事情がありますので、技術系の文書を見るとき、数値の扱い方を見れば、その技術レベルの判断ができることがあります。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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