目次ページ  前ページ 次ページ

3. 寸法と尺度

3.1 長さの計測と規格化


3.1.4 メートル法は人工単位であること

 商業活動には、長さと重さに共通の基準が必要です。これらの単位は、古代から慣用が定着した単位があると同時に、太閤検地尺のように、為政者側で恣意的に決める性格もありました。商業活動が国境を越えて広がるようになると、単位系の比較が必要です。科学技術においては、不変に利用できる長さの単位が要望されるようになりました。この長さの基準に、地球の寸法を使おうと言うアイディアがメートル法です。合理性の好きなフランス主導です。その当時の単位系を使って、子午線の長さの一部を正確に測量し、地球を完全な球体としたときの一周長さを4万キロに決めるとしました。この測量はフランス革命直後19世紀末に行われました。長さの基準にメートル法を提案することは、合理的な面があると同時に、これを日常の単位にまで応用することについては、問題も多く、法律を決めて強制することも必要になります。日本では、メートル法の導入は、欧米技術を学ぶための制度改革の一つとして組み込まれました。しかし、英米ではそれを進めなかったこともあって、日常生活ではフィート・ポンド法のままです。おまけに、英と米とでフィート・ポンドの大きさが少し違うなどで問題が起こることがあります。時代の流れとしては、メートル法に統一されるでしょうが、歴史的な経緯のある単位系についての常識を弁えていないと、古い文書や図面の理解ができません。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

前ページ 次ページ