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2. 作図と製図

2.8 陰影の付け方


2.8.2 光源・対象物・視点の位置関係

図 2.9 等角図に陰をつけた見取り図(光源が、左上に在るとしてコントラストを付けた)
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 或る立体的な対象物の説明用の見取り図を作るとき、凹凸の具合が分かるように光源を考えて陰影を付けます。光源の位置は、大別して二通りあります。一つは写真撮影をするとき、逆光にならないようにする方法であって、光源は対象物から見れば眼と同じ側にあります。もう一つは、机の上で作業をするとき、手暗がりにならないような位置に光源を置く場合です。常識的な配置は、眼から見て、光源を対象物の左上、やや奥に考えます。この位置にある光源は、水平面を明るく照らします。立方体の場合には、手前の垂直面がやや暗く、右横の側面をより暗くします(図2.9))。机の上に置いた立方体が机の上に落とす影は、眼から見て立方体の手前と右側にできますが、これは表示していません。図2.9の左右の図は、実は、同じ図であって、互いに180度回転させただけの関係になっています。左の図は立方体の手前の角が欠けて引っ込んでいるように見えます。右の図は、小さな立方体が、屏風のような後ろの壁と床に接しているように見えます。これが錯視です。用紙上の図の向きと視点の相対的な位置が関係します。なお、光源の位置を、視点と同じ側、左手前でやや上から照らすことを考えると、左の側面がハイライト、水平面に薄い陰を加える図になります。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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