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2. 作図と製図

2.6 座標系の決め方


2.6.2 世界を覗いて作図領域を決める座標系

 幾何モデルは、実体がありません。それが存在していると仮想(virtual)した擬似的な空間を考えます。これを仮想世界、または単に世界(world)と言うことにして、そこに世界座標系(world coordinate system)を決めます。この世界を覗く仮想のカメラを考えておいて、それを通して世界座標系に在る幾何モデルを写し、その像を用紙に転写する仮想の処理を考えます。この想像は、我々の現実世界に当てはめて理解することができます。コンピュータを利用して投影図を作成するには、幾つかの座標系を使い分けます。まず、仮想のカメラも仮想世界に置くのですが、投影の処理を扱うため、カメラ本体に固有のカメラ座標系を考えます。カメラで見る像の性質は、カメラのレンズの位置に人の眼があって対象物を見るような像が得られますので、視点座標系とも言います(図2.3)。幾何モデル本体にも固有の局所座標系を必要とします。このモデルが世界座標の中で、どの位置にあって、どの向きに置くかの情報が必要です。これは、モデルの座標系と世界座標系との関係を定めることであって、幾何学的には座標変換、代数学的にはマトリックスを使う線形代数が応用されます。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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