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2. 作図と製図

2.6 座標系の決め方


2.6.1 形状の表し方に使う言葉とデータ

 単純な平面幾何学的な図形データを、相手に言葉で伝えるときは、例えば、半径 50 mmの円、1辺が10 cmの正方形、のように言うことができます。簡単な立体図形は、3辺の長さが30×40×50 cmの直方体、直径15 cm、高さ30 cmの円錐などと言います。単純な図形単位としての表現はこれでもよいのですが、複数の図形との相対的な位置関係を言いたいときには情報が不足します。例えば、図に書く用紙も矩形の性質を持つ図形です。用紙上に矩形を描くことを考えると、相対的な位置と向きとを知らせる情報が必要です。図に描けば一瞥で済む場合であっても、眼を持たないコンピュータにデータを渡して、用紙上に図を描かせるためのデータを準備するとなると、一工夫が要ります。一般的に、平面図形、さらには立体図形のデータをコンピュータに知らせるときの幾何モデルは、平面図形では多角形の集合を地図のように表し、立体図形では多角形の集合で表した面の集合の多面体(polyhedron)とします。多角形は、の集合で約束できます。辺は隣接する別の多角形との境界です。そして辺は頂点を直線で結んだ構造で約束します。頂点は、複数の辺が集まる場所です。これらの図形のデータは、仮の座標系を約束しておいて、頂点の座標数値が基本データです。凸多角形、凸多面体ならば、頂点の座標が分かれば、どの頂点と頂点とを辺として結ぶかを決めることができます。一般的な定義方法は、あらかじめ頂点・辺・面(つまり、これらがオブジェクト)に番号または記号を割り当てておいて、辺がどの二つの頂点で与えられ、その辺で接する二つの面の接続情報を約束しておきます。こちらは、位相幾何学的(topological)データです。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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