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2. 作図と製図

2.5 幾何モデリング


2.5.2 模型とモデルとの使い分け

 寸法の大きな立体的な形状を、限られた寸法の用紙に図として表現したいとき、眼で見て不自然にならないようにする方法は、程度の大小はありますが、中心投影図が応用されます。しかし、幾何学的に正確な作図原理は、手書きの技術では難しいこともあって、平行投影を場面に応じて応用します。理論に忠実に平行投影原理で作図するならば、用紙の大きさを元の形状と同じにしなければなりません。したがって、寸法の大きな対象物は縮小図に作成するのですが、その考え方が二通りあります。一つは、原寸で描くことを考えておいて、それを写真に撮影するような縮小図に作り直すこと。二つ目は、元の図形の特徴が分かるような縮小寸法のモデルを別に考えておいて、それを平行投影して図にすることです。プラモデルのような、実体を持った縮小モデルは、用語として模型を当てるようです。英語のmodelをカタカナ語で使うモデルは、実体を持たない抽象化を言う場合にも使います。例えば数学モデルがそうです。これから製作する対象物は、未だ存在していないことの意義がありますので、幾何モデル(geometric model)で考えます。このモデルのデータを準備することを、幾何モデリング(geometric modeling)と言うようになりました。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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