目次ページ  前ページ  次ページ

2. 作図と製図

2.4 幾何学と座標系


2.4.3 画法幾何学は座標系を使わない

 幾何学が定義する平面は、平面的に広がった、「形を持たない・抽象的な・眼に見えない」場所の意味を表します。切り紙は、「具体的な・眼に見える」物(オブジェクト:object)として扱うことができますので、表と裏の区別を決めることができます。こちらを、単にと言うことにします。実体のある立体的な形状では、多角形の面で表面を構成すると考える幾何モデルが、サーフェースモデル(surface model:紙細工)です。こちらは、多角形の辺を図に描いて表すことができます。面または表面は、幾何学での平面の性質を持ちます。辺は幾何学の直線の性質を持つとします。直線も、定義としては直線状に並んでいる場所の意味を表しますので、眼に見えるではありません。多角形のは、眼に見える実体として扱うことができます。これは、二つの平面の交差で定義される直線の性質を持ちます。モンジュが始めた画法幾何学は、面と辺とを図に表すときの描き方を扱います。このとき、座標系の約束を使いませんが、座標系らしき考え方は必要です。それは、後で説明する図2.5で示すような、直角に交わる二つの投影面が、言わば座標平面を示しています。ここでは投影面の交差直線を基線と言うのですが、座標軸とは言いません。座標原点の約束も、長さを測る尺度の約束もありません。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

前ページ  次ページ