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2. 作図と製図

2.4 幾何学と座標系


2.4.2 寸法は線座標系を使うこと

 設計図に相当する図は、古くから実用されていました。そこには、何がしかの寸法数字を、単位系と共に書きます。この表し方は、どこかを起点として累積するように表します。これは実践技術であって、明確に意識をしませんが、物差しを当てて長さを測る線座標系を使うことです。ここで使う物差しには、定規のような直線だけではなく、紐やテープを使って曲線に沿っても測ります。したがって、職人さんの使う物差しや測定器具は、起点となる端が必ず0の目盛になっています。一方、三角定規などの文房具に物差しが付いていても、0の目盛位置を端に合わせてないのが普通です。これらは、寸法を測ることが主目的ではないからです。図面に寸法を書く場合は、実物に物差しを当てて確認できるように記入します。理論的に参考にする数値であっても、物差しで測れない寸法があることを理解しておきます。例えば、円柱は外形としての直径を書き、半径数値を使いません。円の中心位置が分かるとは限らないからです。半径を書いてあれば、直径は2倍すればよいのが理屈ですが、作業現場で計算が必要になる数値を使いません。道路や鉄道の路線は、理論上、大きな半径の円弧を使います。曲線の半径は参考数値です。円の中心位置は分かりませんし、その位置も重要ではありません。円周に沿って、多角形状に座標位置を求める測量の技法を曲線設置法(curve setting method)と言います。この数値計算には二次元または三次元の座標幾何学が応用されます。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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