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2. 作図と製図

2.2 印刷と複写


2.2.1 設計図は複写を考えて作成する

 図面は、関連を持つ複数の人・部局・企業で情報を共有するための媒体として利用しますので、複数の複写物(コピー:copy)を作成します。現在では文書や絵画のコピーが便利に利用できます。しかし、1920年代までは、複写装置がありませんでした。同じものを複数作成する方法として印刷(プリント:print)があります。こちらは、最初から大量の部数を作成することを考えて作業を計画します。複写は、既に原本があって、それから同じもの、または同じに扱えるものを小部数作成する意義があります。手書きで筆写するのでは一部しかコピーできませんので、コピーには印刷装置とは別の工夫が必要です。青写真(blue print:ブループリント)の日本での歴史は、理化学研究所が1927年に開発した方式に始まりました。原理は写真の焼き付けと同じです。一般写真が銀塩を使うのに対して、鉄塩の感光性を応用したものです。この他に、ジアゾ(diazo)化合物を利用する方式なども開発されました。青写真は、用紙の地が青、線が白の陰画で得られますので、通称で青焼きと言います。地が白の陽画で得られる方式もあって、こちらを白焼きと言います。これらを利用するには、最初から原稿をトレーシングペーパーに書くことから始めなければなりません。このことは、設計・製図作業に大きな影響がありました。青写真は、設計図の意味で一般にも使われる用語になりました。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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