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2. 作図と製図

2.1 図を描く技術


2.1.2 図面の作成は漫画の作成とは別技術である

 絵を描くことは、小学校の教科である図画工作の教科に始まって、中学校、高等学校では美術・芸術の科目と続きます。図画工作は、産業活動としての設計から製作までの過程をモデル化して、低学年の生徒に教えていると見ることができます。学年が進むと、受験技術の勉強が主流となり、手を使う作図や工作に関係する教科が遠のきます。絵画について言えば、一般には教養として一通りの名画鑑賞の素養は教育されます。しかし、或る程度の才能に恵まれていないと、絵を上手に描いて認められるまでにはなりません。日本の漫画は、いまや世界的に有名になってきて、一つの日本文化の見方をするようになりました。古くは12〜13世紀の鳥獣人物戯画、近世では葛飾北斎の漫画のような文化的伝統があり、戦後は手塚治虫に代表される漫画家が多くの漫画キャラクタを登場させた歴史の流れがあります。これらのキャラクタは、子供たちにはスター並みに扱われます。その流れを受けて、大して意味がない場面に漫画風のイラストを使った文書が氾濫するようになっています。製図は、これらのイラストとは対照的な作図技術です。書物を編集するときは、説明用の図(figure)に写真も含めます。手作業で作る、線図を主としたものをイラスト:illustration)と言い、この作成を、単純に作図(drawing)と言います。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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