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1. 土木製図基準制定と改訂の経緯

1.2 標準化の基本的な考え方


1.2.3 基本数列のISO流の決め方

 工業製品は、目的に合わせて大小の選択ができるように複数の寸法を使い分けます。二つ上の項で説明した用紙寸法もそうです。これと関連して、線の太さの選択が( JIS Z8312 製図に用いる線)、図面に書き込む文字や記号の高さ(JIS Z8313 製図に用いる文字)などが独立した規格になっています。図面は、工場や野外で広げて見る使い方もしますので、机の上(デスクトップ)で見る書類に比べて、やや大きめの文字と太めの線を使います。図面管理の目的で、大きな図面用紙を縮小して利用することもしますので、大体の感覚として、1/2に縮小しても判読できる寸法を考えます。図面の用紙寸法は、A0〜A4の並びが辺の寸法比で1:√2の比率で小さくなります。文字と線の太さの寸法系列も同じ比率の寸法系列を提案しています。ISOの考え方には、数列を決めるとき、1を含めることを一つの原則としています。A0の用紙寸法は、面積が1uです。線の太さの場合、1oを含めますので、残りの寸法系列は√2の比率で決まります。しかし、以前は、0.1mmを基本の最小寸法としていました。この場合、寸法系列に1が含まれなくなります。この寸法規定は、文房具メーカーにとってはインクペンの寸法の商品規格に関係します。文字寸法は、文字高さの基準寸法を10mm=1pと考えることで、全体の寸法系列を決めています。この寸法系列も、製図用具の商品としての文字用テンプレートの寸法規格と関係します。なお実際の図面で線の太さの種類を撰ぶときは、見た目で区別の付く細線・太線・極太線の三種類に抑え、寸法比にして1:2:4にします。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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