目次ページ  前ページ  次ページ

1. 土木製図基準制定と改訂の経緯

1.2 標準化の基本的な考え方


1.2.1 なるべく二つ以上の系列を併用しない

 製図規格を決めるときに問題となった代表的なものの一つは、図面に使う用紙寸法系列の選択です。工業用として使う用紙はロール状のものもありますが、日常の文房具としての用紙は、或る大きさに裁断した寸法で利用します。その寸法系列はA列、B列の2種があって、大小の寸法選択に便利になるように決めてあります。ドイツの規格では、この大小順を更に補うC列の規格もあります。種類が増えて、選択の範囲が広くなるのは、使う側では便利と思うでしょうが、実用を考える場面では、その中の数種類の寸法で済ますことができます。また、商品の種類が増えることは、管理の立場からも無駄が多くなります。つまり、規格としては全体として統一のある寸法系列を提案しても、使う側は、その中の幾つかを選択します。図面に使う用紙寸法を、A,B,C,どの寸法規格を使っても良いと決めると、結果的には寸法規格を決めないことと同じです。土木製図基準では、用紙寸法をA0〜A4の5種類で使い分けることを提案しています。規格は法律ではありませんので、これ以外の用紙寸法を使用することを禁止するものではありません。つまり、必要最小限の種類に抑えることが規格化の精神です。ただし、規格外寸法の選択する場合は、それなりの理由があるときと解釈します。なお、JIS規格のB列の用紙は、日本独自の寸法系列になっていて、ISOのB列規格寸法と整合しません。したがって、B列の用紙寸法を含めなければ、国際規格と整合させることができます。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

前ページ  次ページ