目次ページ  前ページ  次ページ

1. 土木製図基準制定と改訂の経緯

1.1 公文書としての図面


1.1.2 図面は公文書の性格を持つこと

 土木構造物の計画・設計・施工、さらに管理に利用することを目的とした図面の集合は、公文書(アーカイブ:archives)として扱うことが必要になります。一般的な文書は、文章書式体裁の三要素を持たせます。その文章に代えて、互いに関連を持たせた複数のを考え、その全体に一つの筋書きを通します。書式に当たるところが図の描き方の約束であり、これが製図法を構成します。図面は、大きな寸法の用紙を使うことが通常の文書と異なる体裁の一つです。図面は、文章なしでも理解できるように描く約束を持たせます。したがって、実用文の文章の書き方とは違った、図の描き方の文法に当たる規則と、図を理解する読図の知識が必要です。検図は、文書での校正に当たる重要な作業です。図面は、文書とは別に管理されることも多く、他の文書を廃棄しても、図面を残す場合があります。このような背景を持った図面は、土木構造物の管理者側の目線で作成しますので、実際の図面作成者側の所属や氏名などが表に出ないことがあります。さらに、最も基礎的なこととして、図面の作成について組織的に教育することの視点が、どこにも無いことに気が付いているでしょうか? 製図基準または製図規格の条文本体を理解させるための解説書は必要です。同時に、それらの条文の元になった理論的な背景と、どのような経過で決まったのかを説明を補えば、設計・製図の基礎教育に役立ちます。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

前ページ  次ページ