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1. 土木製図基準制定と改訂の経緯

1.1 公文書としての図面


1.1.1 複数の職種が関係する文書であること

 工業で利用する図面は、芸術的な造形作業のときに使う下書きの図(デッサン:素描など)と較べると、かなり性格が異なっています。図面は、対象物の造形作業を目的とした多くの分野の分業で行われることを考えて、間違った理解がされないような注意が必要です。この分業は、複数の人または企業が関与すると言う意味に加えて、道具として、製図用具や機械装置の助けを含みます。この道具に、コンピュータが加わってきました。道具を使うとき、道具に擬似的な人格を考えます。この道具との対話を、最初はman-machine-interfaceと言い、それからuser-interfaceの用語が一般化してきました。これらの道具は、数学的かつ幾何学的な原理で制御され、図面そのものも幾何学的図形で表示します。つまり、芸術感覚で自由な作図をすることが少ない図です。そうであっても、多くの図面を較べて見たとき、作図技能の上手・下手の区別もつきますので、節度のある図面作成の教育が必要です。それを系統的に計画して実行することを考えると、製図規則を決めることに繋がります。図面は、対象物の作図をする人、その製作に当たる人、それに、管理に当たる人が関わります。図面は、国際的な垣根、また言語の違いを越えて利用されます。文字表現が無くても理解できる、国際的に共通した基準が必要です。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

 
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