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24. 幾何の計算に使うプログラミング

24.1 入出力装置環境の変遷


24.1.2 科学技術計算のインタフェース

 コンピュータは、複雑な数値計算を高速に処理することを目的として開発された歴史があります。日常的には、お金にからむ事務処理の需要が圧倒的に多いので、往時の商用大型コンピュータ、例えばIBMのシステムは、基本的に事務処理計算指向です。会社名も(International Business Machine)です。科学技術計算に利用するには、幾らか不便を強いられました。大型コンピュータを科学技術計算に使いたいとなると、ユーザインタフェースの考え方に違いがあることを理解する必要があります。事務処理のプログラミング言語の代表がCOBOL、パソコンソフトウエアの代表がMS-WordとMS-Excelです。どちらも、定型化されたモニタ上の作業画面を使い、目的とする成果のスタイルもほぼ定型化された書式で得ることを目的とします。科学技術計算では、モニタは、処理の進行補助と途中経過を表示することに使います。入力データを変えて、何回もの試行錯誤を繰り返すこともします。試行結果を印刷用データとして得ても、それらはレポート作成用中間データであることが普通です。途中経過を対話的に(インタラクティブ)にモニタしながら、必要な個所を選んでファイルに蓄積し、改めてレポートにまとめます。この段階になると、パソコンのOffice系のソフトウエアが便利に使えます。試行錯誤の段階で使うソフトウエアは、事務処理指向のソフトウエアとは違ったツールです。専門ごとに処理目的が異なりますので、標準化が難しく、結果的に商業ベースに載る科学技術ソフトは多くありません。
2009.12 橋梁&都市PROJECT

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