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24. 幾何の計算に使うプログラミング

24.1 入出力装置環境の変遷


24.1.1 手作業のところで能率が落ちること

 算盤や手回しの計算機、さらには電卓を使う場合であっても、実質的な計算速度は、数値をセットし、計算結果を紙に書き出す手作業の時間で決まります。さらに、手で書くときは、きれいな字で清書した文書にしないと、実務での利用に沿いません。数字と、記号の幾つかの印刷が得られる簡単な計算機は、商店などで使う金銭登録機(キャッシュレジスタ)があります。しかし、一般向け、または科学技術計算用に向いた製品はありませんでした。電気機械的に制御のできる英文タイプライタは、電報のような電信の送受信機に利用され、TTY(Tele-Typewriter)と言います。初期の大型計算機の入出力に利用されたときに、コンソールと呼びました。原義は、教会にあるパイプオルガンの演奏台に見立てたニックネームです。コンピュータの制御には必要な装置でしたが、コンピュータの演算速度に較べると、印刷速度が比喩的に言えば兎と亀の差がありますので、高速のデータ入力に使うカードリーダと印刷用にラインプリンタが別装置として開発されました。マイコンの環境には、安価なドットインパクトプリンタが開発されました。しかし、実行プログラムの中でプリンタを直接利用すると、プリンタが動作している時間、本命の計算処理が止まってしまいますので、全体の処理速度が落ちてしまいます。これはキーボードでもディスクでも、入出力を扱うときに起こります。そこで、処理結果を別のメモリに書き出しておいて、別のプロセッサを使って時間的に別処理させる方式が標準的に採用されるようになりました。
2009.12 橋梁&都市PROJECT

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