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23 道具としてのコンピュータ

23.4 基本的な技能


23.4.6 レポート作成を目的として全体作業を計画する

 パソコンを利用する目的はさまざまです。ゲームをする、インターネットを楽しむ、メールで連絡しあう、などの利用は、一過性の使い方です。社会生活の場では、何がしかの形のある実用文書(ハードコピー)を作成することを目的とします。一般の人であれば、WORDを使って文書を作成するまでの一通りの知識があれば、パソコン入門過程を済ませたと言えます。しかし、個人でプリンタを持つとなると、余分な出費になりますし、そう頻繁に使うこともありません。現在では全く見ませんが、パソコンの前身に、マイクロコンピュータ応用の、白黒印刷のできるプリンタ一体型の安価で簡単なワードプロセッサが、企業だけでなく個人にも普及していました。現在の企業では、一台のプリンタを共同で使う形態が普通ですので、家庭で個人がデジタルカメラ用にカラープリンタまで持つことは、贅沢な出費と言えます。実用文書の標準的な体裁は、A4版の用紙を縦位置にし、横書きにまとめます。文字だけの文書で済むと簡単です。文書に図も挿入したいとなると、一挙に専門的な知識が必要になります。図を自分で作成するには、別に作画用のグラフィックスソフトウエアを使う技能と技法が必要です。市販のCADのソフトウエアは、手描きの感覚で図を見ながら対話的な作業ができます。技術系の作図に使うソフトウエアは、座標数値をデータとして間接的に描かせますので、実際に作図した結果を見るまでは、思った通りに図が描けていることを確認することができません。図形の特徴を座標数値で表すこと、それを元に図を描くことは、言わば、計算幾何学の課題です。この目的を持たせた使い易い作図用ソフトウエアは、殆ど市販で見つけることができませんので、自前でプログラミングをしなければなりません。このことの解説を次号で行い、この「易しくない計算幾何学」の締めにします。
2009.11 橋梁&都市PROJECT

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