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23 道具としてのコンピュータ

23.4 基本的な技能


23.4.3 道具は体に合わせること

 道具は、それを使う人が自分流に調整します。言わば、カスタマイズします。そうすると、道具に愛着を持ち、大事に使うことに繋がります。他人の道具を勝手に使うのは信義に悖る(もとる)のですが、技術に理解が無いと、微妙な機微は判りません。状況によって、道具の方に体を合わせることもあります。こちらは、道具の機能を引き出すために、人の方に努力を強いるときに見られますが、合理的な根拠を持つこともあります。パソコンのキーボードは、手の寸法と作業性を考えたキー配列になっています。小型化が要望される場面もありますが、作業性は落ちます。キーボード無しでマウスだけで作業ができるのはゲーム的なソフトウエアか、デモンストレーション用です。キーボードやマウスは手で触る使い方をしますので、指先を含め、手を清潔にしておく必要があります。その延長として、不用意に物に触らない躾が必要ですし、まして、他人の持ち物に手を触れることを慎むのがマナーです。学校教育で使う共有パソコンのモニタ画面は、指紋でべたべたに汚れますが、触ることに無神経な学生が多いためです。つまり、手を触れることは非常に重要な動作です。技術の世界は室内作業だけではありませんので、環境条件の悪いところにモバイルパソコンを持ち出して、手袋をした手で使うこともあります。特殊な厳しい環境に合うようなカスタマイズには、軍事利用を目的としたMIL仕様も参考になります。非常に日本的な習慣ですが、道具を使い終えて処分するときに、けじめを付ける手納めの儀式や行事をすることがあります。
2009.11 橋梁&都市PROJECT

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