目次ページ  前ページ   次ページ

23 道具としてのコンピュータ

23.3 ユーザインタフェース


23.3.8 馬鹿正直が表彰に値すること

 一般の人は、コンピュータで処理したと聞くと、頭から信用します。その信用の基礎に置くのは、コンピュータは決められたことを馬鹿正直に実行してくれると思っているからです。なまじ知恵を巡らすような賢さは危険なことがあります。人間社会のシステムでは頻繁に起こります。交通規則を馬鹿正直に遵守するのではなく、その場の状況に応じて臨機応変に対応することを許す雰囲気もあるのですが、安全対策の立場からは信頼が置けない犯罪行為に等しいのです。これも失礼な表現ですが、例えば、融通の利かない規則遵守の役人は嫌われる傾向があります。しかし、これが分掌であって、自分に許されていない仕事をしないことです。逆に見ると、融通が効く役人は、汚職や口利きなどに弱いので、却って危険人物なのです。コンピュータのプログラムは人が作ります。融通の利く便利なプログラミング言語は好まれますが、プロフェッショナルな場では、信頼を置くことに少し距離を置く扱い方をします。
2009.11 橋梁&都市PROJECT

前ページ  次ページ