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23 道具としてのコンピュータ

23.3 ユーザインタフェース


23.3.7 技法は賢さの方を言います

 少し失礼な言い方になりますが、人を評価するときの褒め言葉で「頭が良い」ことと「賢い」とは違う概念です。前者は親の素質を引き継ぐ遺伝形質を言い、後者は本人の努力で得られる後天的な経験や知恵を評価する言い方です。ただし注意することは、悪賢い方にも知恵を巡らすことがあることです。頭が良くても、良質の賢さとは言えないのでは困りものです。一休さんのような、良質の頓智とユーモアを育てるのは教育の責任です。コンピュータで言えば、頭の良さはメモリが大きいことと演算速度が速いことに当たります。賢さは、ソフトウエアの良し悪し評価の方を指します。電卓はコンピュータの一種ですが、賢い使い方の工夫の方を技法の意義に含ませ、場面に応じてパソコンと使い分けます。パソコンは、多くの一般ユーザの欲張った要望を取り入れてソフトウエアが肥大化してきました。しかし、大量のディスク領域を、殆ど使うことのないソフトウエアが占領していることや、良いソフトウエアが使えないのでは、賢いパソコンとは言えません。大きなメモリに大量の知識が詰まっていても、目的に合わせて取り出す応用の知恵(技法)が無いと、最初から知識がないことと同じです。学校教育や各種の学科試験は、知識を貯めて取り出す技術を評価する傾向があります。知識の応用が目的であれば、必要十分なパソコンのシステム環境を、カスタム的に構成するのがプロフェッショナルな感覚です。
2009.11 橋梁&都市PROJECT

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