目次ページ  前ページ   次ページ

23 道具としてのコンピュータ

23.3 ユーザインタフェース


23.3.4 具体的な道具と擬似的な道具

 二つ上の段落で説明したように、パソコンの使い方は、モニタ上に図や文字を表示するシミュレータとして使うだけで済ますことが多くなりました。ワードプロセッサは、タイプライタの用紙のイメージを表示して作業をします。作業が判り易くするために、印刷レイアウトと同寸法になるような作業画面を表示し、その同じ寸法イメージ印刷物が得られます。これをWYSIWYG(What You See Is What You Get:見たままで得られる意)と言います。幾何で必要な線図形は、プロッタを擬似的に表して、そこに作図します。これらの表示は、モニタ上一過性画像と言って、記憶に残る以外、具体的なものではありません。実体ではないものもobjectと当てるので理解の混乱が起こります。実体のある成果を残すには、プリンタやプロッタに出力させます。そこで、モニタ上で観察する表示をソフトコピー、具体的に紙に出力したものをハードコピーと呼んで区別します。コンピュータの利用は、そのどちらか、または両方のコピーを作成しますので、実体装置と擬似的な装置との両方について、機能と特徴を弁えた上で使い方を覚えます。実体装置の使い方を覚えるのが基本であって、擬似的な装置は実体装置をモデル化したに過ぎません。実は、モニタは特殊なデバイスであって、プリンタやプロッタの擬似的な装置である場合と、モニタ自体を独立なディスプレイ装置として使うこともあります。したがって、モニタとディスプレイ装置とを切り替えて使う場面があります。例えば、Microsoft Power Pointがそれを使い分けるソフトウエアです。
2009.11 橋梁&都市PROJECT

前ページ  次ページ