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23 道具としてのコンピュータ

23.3 ユーザインタフェース


23.3.3 オブジェクトを理解すること

 和語には抽象的な用語が多くありません。抽象的用語は、漢語の助けを借りなければなりません。例えば、のような、或る全体をまとめて(集合的、総合的に)言う言葉です。和語の場合には、具体的な名前を使う傾向が強いのです。例えば、子供に向かって「椅子の上に物を置くな」と言うよりは「椅子の上にカバンを置くな」のような具体的な呼び方をします。物の分類を細かくして、人物・動物・生物・静物の言い方があります。英語のobjectは物の意義と対応しています。英語文法を習うとき、objectを目的語と訳したのは、けだし、名訳と言えるでしょう。「He gave John a book」の構文では、Johnが助詞「に」を取る間接(第一)目的語、bookが助詞「を」を取る直接(第二)目的語としています。英語では「に・を」の語順が大切です。逆順は、「He gave a book to John」です。注意することは、objectが物だけでなく人も動物も含むことです。コンピュータ用語には、object computer、object languageの使い方も見ます。前者は、どのコンピュータを対象としたプログラミングであるかの意義で使い、後者はどのCPUを対象とした機械語であるかの意義を持っています。したがって、objectを単純に目的と訳すと、不正確、または不十分であることも起こります。物だけでは大雑把過ぎますので、より細分化したグループ名も使い、その下に部品名を当てます。さらに個別に適当な名前(部品番号など)を付けて区別します。家族を表すとき、全体を何々家で分け、親子兄弟姉妹の位置関係があります。ここまでが抽象的なobject扱いになっていて、最後に具体的な名前で個人個人を区別します。
2009.11 橋梁&都市PROJECT

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