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22. 数値解析とグラフ化

22.1 離散的に扱う時系列データ


22.1.4 アナログ的な事象にも順序グラフを応用する

 例えば、構造物の振動波形は、時間的に連続したアナログ信号です。解析に使う場合は、適度な時間間隔でサンプリングした離散値(デジタルデータ)の集合に直します。或る観測時間長さのデータを、上と同じように順序グラフに描くこともできるようになりました。アナログ方式の電子回路を使って、元の波形から順序グラフを生成させる方法は簡単に製作できませんので、従来は研究手段として順序グラフを扱うことをしませんでした。しかし、種々のデータを順序グラフに描いて見ると、特徴のあるグラフを示し、元の波形データの性質を知る手段として利用できます。ヒストグラムは、順序グラフの横軸の方を適度な区間に区切り、その区間ごとのサンプル数の増分を棒グラフに表したものです。数学的には、順序グラフの差分を計算しています。サンプル数の多いデータの順序グラフを滑らかな曲線で近似しておいて、このグラフを微分すると、連続関数としてのヒストグラムを表します。これは、元の事象の強度レベルの確率分布です。統計学の方では、理論的な確率分布の積分で表される滑らかなグラフを累積確率分布曲線と言い、順序グラフになっています。元の事象が確率過程であると、順序グラフの扱いが回帰分析との接点です。
2009.10 橋梁&都市PROJECT

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