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22. 数値解析とグラフ化

22.1 離散的に扱う時系列データ


22.1.2 解析的な変換で別の図形を得ること

 科学技術の研究態度は、事象を観測して、誤差を生じるような乱れを外して行くと(捨象や抽象と言います)、数学的な美しいモデルが見えてくるだろうとする、分析や解析の考え方をします。対象とする時系列の具体的なデータは、連続した事象から代表として飛び飛びの(離散的な)n個の数値の集合を取り出します。そうすると、この事象にはn種類の性質があるはずですので、その判断資料にするため、何がしかの計算処理を工夫します。人の手で図形をデフォルメすることは、或る特徴を際立たせるマンガ的手法に見られます。グラフの縦横の尺度を変える表現は、図形のアフィン変換や射影変換も応用され、人の感性を使う判断を助けます。これらの変換は、元のグラフの特徴が残りますが、全く別のグラフ形に変換する方法があります。離散的フーリエ解析は、有限個数の三角関数が組み合わさったとするモデルです。フーリエ解析をして、さらにスペクトルを計算してグラフに描くと、元データの波形グラフとは違う顔を見せます。フーリエ解析のグラフも、さらに、縦横の尺度を変えて描くと、特徴の現れ方が変わり、別の発見をすることがあります。感性による判定は、主観的で、数値化し難いので、科学技術論文の成果として扱うことを遠慮する傾向があります。別の解析方法を使えば、別の特徴が見つかります。別の解析方法の例として、順序グラフを使うことを、この章で説明します。
2009.10 橋梁&都市PROJECT

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