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21. 代数学的図形の計量と作図

21.4 時系列データの変換


21.4.7 時系列解析の元データのディメンション

 時系列データがデジタルデータの集合として与えられたとき、元になった事象の物理的な次元(ディメンション)を考えた解析が必要です。筆者の専門からは、橋梁の振動測定のデータが対象です。振動測定用センサーは、加速度計・速度計・変位計の区別があります。構造物の振動を考えるときは、構造物の全体、または部分の運動の性質に注目しますので、ムービングコイルを使う速度型のセンサーが適しています。その理由は、運動エネルギーは速度の二乗で計算しますので、速度データをフーリエ解析してパワースペクトルを計算する処理はディメンションを整合させるからです。しかし、橋梁振動測定のように、野外に持ち出して計測に使うには慎重な取り扱いが必要です。一般的には、加速度を計則する原理を使うセンサーが経済的です。小型の音声用マイクロホンは、音の領域の振動センサーですが、殆どが加速度計原理のセンサーですので、構造物の振動のような、低い振動の計測には使えません。そのため、構造物の振動測定用センサーは、抵抗線歪み計が応用されます。変位計は、静的な移動(振動数0)までの低振動を測定できますが、不動点を構造物の外部に設定する必要があり、大掛かりになります。
2009.9 橋梁&都市PROJECT

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