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21. 代数学的図形の計量と作図

21.4 時系列データの変換


21.4.1 写像という言葉

 眼で見ている図形を別の角度から見ると、変形して別の図形に見える変換を、幾何学の用語では射影・投影・投象(projection)など言います。幾何学図形の変換も、反転のような代数学的な方法を応用します。図が先にあって、それを変換する向きで扱います。代数学的に表されている関数関係を図に表すときは、グラフ(graph)と言います。この操作は写像の用語を当てるようです。理由は、元の英語がmappingだからです。関数を考えるときは、直交座標系で表したグラフを最初に考えておいて、その座標系を代数的に変形(変換)したら、元のグラフの形がどのように変るかと言う見方をします。したがって、座標系の形がどのように変るかの方に焦点があって、必ずしも具体的な図形を扱いません。代数学的には、変換前と変換後の図形に1対1の点の対応を保証するような写像の方法が研究されています。前にあった図形が消滅することも、また新しく図形が発生することもない条件を満たす変換です。その一つが等角写像です。元の座標系で表されている直線が曲線に変形することがあっても、部分的に交わる2線分の角度が変らない、とする写像です。代数学的に写像を扱うときは、元の代数式が写像によってどのような代数式で表されるかを、主に注目します。しかし、図形(グラフ)の描き方には、ビジネスグラフを使う場合と同じように、どのような図にすれば元の現象の特徴が強調できるか、また、隠れた性質を見つけだすことができるか、という工夫を加える自由度があります。
2009.9 橋梁&都市PROJECT

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