目次ページ  前ページ   次ページ

21. 代数学的図形の計量と作図

21.3 図形のコピー


21.3.3 立体図形のコピー

 東大寺南大門にある高さ8mにも及ぶ巨大な仁王像は、最初から大きな寸法の木材から切削して作ったのではありません。原形を作成するとき、小寸法の木材を集めて膠で固めた木の塊を用意し、これに仏師が仁王像を彫ります。完成した後で、膠付けの原像をお湯で溶かし、小寸法の素部品に分け、部品単位で大きな木材を使った寸法に拡大したコピーを作り、それを組立てます。アメリカのニューヨーク港にある自由の女神像の原形は、バルトルディ(Bartholdi、1834-1904)の創作です。原形の像はパリのリュクサンブール公園にありますが、いまやその巨大コピー(レプリカ)は、パリも含め、世界中にあふれています。その構造は、鉄骨の骨組みを使った張りぼてです。原寸の立体コピーは、鋳物の製作が代表的です。これは、木製の原形(木型、雄型)から砂型(雌型)を作って溶けた金属を流しこんで作るコピーです。プラスチック製品に使う型や、鉄板のプレス加工に使う型を金型(かながた)と言います。大量生産される瀬戸物の食器も、粘土を型で成形します。金型を製作する過程で、幾何モデリングを扱い、そのデータを使って金型を製作する技術は、CAD/CAM (Computer Aided Design & Manufacturing)の主要な応用になりました。
2009.9 橋梁&都市PROJECT

前ページ  次ページ