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21. 代数学的図形の計量と作図

21.1 感覚で理解する長さ


21.1.3 長さを測るのは技術であること

図21.1 ノギス
 現実的な形状を扱うとき、寸法を直接測る道具が物差しや巻尺です。これが不正確でまちまちであると問題ですので、国の機関で管理されています。室内作業で扱う程度の工業製品の製作現場では、長さ計測に種々の道具を使います。種々の物理量の計測も、メータを使うときは目盛を使った長さ表示になっています。精度良く測る技術は、計測法として特徴のある研究分野を構成しています。長さは、例えば、ノギス(図21.1)が長さを直接測る物差し的な道具であるのに対して、マイクロメータ(図21.2)は、回転に直して短い長さを長い長さに直して測ります。原理は勾配を使って低い高さを長い奥行きに拡大する測り方です。ネジのピッチは横から見れば螺旋状になった傾斜になっているからです。寸法数値は、眼で見て目盛を読み取ります。一目盛の1/10を精度良く読み取る補助に9等分の副尺(バーニア:Vernier,1580-1637)が沿わせてあります。測る対象を広くして、例えば道路に沿って長さを測るときには、車輪の回転数から積算する道具がありますし、自動車ではタイヤの回転数を積算する距離計があります。直接触れて測れない距離を測るときに光学的な装置が応用されます。工業製品は、製作過程で種々の寸法測定が行われます。平面的な座標位置、さらには三次元的な座標も、眼で目盛を読み取ることが基本ですが、それに代えてデジタル値として得る特別な装置があり、デジタイザと呼ばれます。地球的な規模で長さを測る技術を扱うことが測量学・測地学であって、幾何学の原点です。数値計算法も含めて、種々の方法で長さを計測します。

図21.2 マイクロメータ
2009.9 橋梁&都市PROJECT

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