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19. 変形を扱う幾何学

19.3 曲線を扱う数学的方法


19.3.9 外形を曲面で設計する構造物

図19.7 北京国家体育館 通称鳥の巣(インターネットで採図)

 任意形状の曲面を持つ構造物を設計するときは、2方向の曲線の集合を考えます。建築構造のように骨組みで実際構造を構成することを考えると、マクロに見ると曲面になるように立体的なトラス構造で組み上げます。鉄筋コンクリートで連続した曲面を持つシェル構造に構成する場合であっても、トラス構造で型枠を先に製作して位置決めをしなければなりません。螺旋構造で説明したように、一つの曲線を構成する細長い部材で形を決めるには、曲げと同時に捩れを加えて、二方向の曲率に合わせなければなりません。設計・製作・組立てを考えると複雑になりますので、扱い易い構造モデルを工夫しなければなりません。一つの解決方法は、一平面内の曲げだけの曲線を立体的に組み合わせることです。これは北京オリンピックで建設された鳥の巣競技場の構造設計に見ることができます。構造構成の考え方は、筆者の想像ですが、傾きの異なる複数の平面と楕円柱面の交差でできる曲線の集合です。しかし、部材単独を取り出すと、断面形状に捩れを加えないと、他の部材との交差面を揃えることができません。
2009.7 橋梁&都市PROJECT

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