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19. 変形を扱う幾何学

19.3 曲線を扱う数学的方法


19.3.8 弾性針金の変形をモデルとすること

 しない定木は、言葉からも分るように、しなやかな(弾性的)材料を使って製図用具として製品化されています。コンピュータを利用して曲線を作図するスプラインのアルゴリズムは、数式が入り組んでいますが、構造力学の教養が有る人ならば、この数式が弾性的な連続梁の変形を表す式と同質であることを理解してくれます。しかし、梁の曲げ変形は微小変形理論で求めますので、大きな曲率を描くように変形分を拡大して描くと、実際の弾性梁の大変形とは少し違う性質の曲線になります。一方、滑らかな曲面は、二枚貝の殻で眼にしますので、構造解析では曲面を構成する薄板構造をシェル(shell)と言います。建築構造に採用した例は、シドニー港にあるオペラハウスが有名です。通常は、貝の外形、凸の形の方を注目しますが、内面の凹の形を扱うこととは区別するようです。自動車のボディーや、家電製品の外形デザインには、凹凸を含めた滑らかな曲面形状が見られます。薄板に曲面形の型を押し付けて加工する手順を考えると、折り返しがある曲面は、一回の操作では製作できません。したがって、曲面を数学的に扱うときのモデルは、三次元の座標を使い、一価関数z=f(x,y)の形を考えます。任意形状の曲面を自由曲面と言います。これをコンピュータで扱う実践的な方法は、二方向の立体的なベジエ曲線を組み合わせます。
2009.7 橋梁&都市PROJECT

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