滑らかな曲線は、弾性針金のような実体を想像して、それが描く図形で理解したいとします。しかし、幾何学的に言う曲線は、場所の集合を表す概念ですので、軌跡とも言い、幅や厚みの属性がありません。真っ直ぐな針金をそのまま捩っても、見掛けは直線のままです。撚り糸やワイヤロープのように、最初から捩った細部構造を持って、真っ直ぐに使うこともあります。曲線は、移動する物体が描く軌跡として理解することがあります。移動する物体、例えば自動車の方に注目すると、自由に水平移動ができるのではなく、自動車には走行方向の軸があり、向きの変更で曲線を描きます。回転台の上に載せて向きを変えるのではなく、真っ直ぐ進んで、進行方向と直角に少し移動することで、結果的に向きが変ります。つまり、曲がりは微分的な概念です。平面曲線であれば、向きの変更は左右だけを考えれば済みます。航空機が描く立体的な航跡は、左右・上下の向きの変更で結果的に描かれる軌跡です。機体の方の座標系で左右・上下を決めます。進行軸に対して機体を捩るように回転させることができますので、空間的な曲がりに沿った機体の、軸回りの向きは、一意に決まりません。
2009.7 橋梁&都市PROJECT |