図形としての滑らかな平面曲線を幾何学的に扱うときは、位置の集合が曲線上に在るとします。代数幾何学的に扱うときは、座標系を決めておいて、曲線上に在る点の座標を、例えばxを媒介変数にして従属変数yを何かの代数式で表す方法を工夫します。普通、直交座標系で表すことを考えるでしょうが、これが案外不便なのです。例えば、放物線は、y=ax2 の形が標準形です。しかし、横向きに表す式はルートを使い、また任意の角度に回転させると、式を見ただけで曲線の形を想像することはできません。これに代えて、或る位置を起点とした曲線の長さをパラメータに選び、長さ方向(曲線の接線方向)とそれに直交する向きを局所座標軸に選ぶ方法を考えます。平面曲線を道路線形に見立て、自動車の進行方向(接線方向)から左右に向きを変える約束を決めると、曲線を再現する、つまり、曲線の形が決まります。この方法では、曲線に沿って長さを測る必要があります。直交座標系を使って長さを求めることも、案外面倒です。斜めの位置の距離は、二乗とルートに開く計算がありますし、曲線に沿って測る長さは、微小長さ成分の定積分で求めます。これを扱うきは、初等幾何学の範囲ではなく、微分幾何学・積分幾何学・解析幾何学のような用語で分類しています。長さの積分計算は、扱い易い代数式が提案できる場合が非常に限られていますので、実践的には力ずくで数値積分をしなければなりません。曲線を先に作図(再現)しておいて、後から直交座標系と関連付ける方法が便利なことがあります。既に第5章で、曲線を表す式に、生の直交座標系を使う代わりに、位置ベクトルを使った表し方をしました。
2009.7 橋梁&都市PROJECT |